一般質問の原稿です。
青字が質問です。
いたばし未来会議の大野ゆかです。通告に従い、一般質問をさせて頂きます。
先日11月9日から2日間子どもの権利条約フォーラム2024が開催されました。
こども基本法は、全ての子どもが幸せに暮らせる社会を目指し、2023年4月に施行され、板橋区でもこの法律に基づき、子どもや若者を支える取り組みを進めています。そこで今回は、子どもの権利について様々な視点から質問をしていきたいと思います。
8月24日に「いたばし子どもワークショップ」が開催されました。子どもたちの声を最大限に尊重し、政策策定にあたり参考とする目的があります。
小学生から高校生の合計35名が参加しました。小学生は「家庭や学校以外の居場所づくり」、中学生は「板橋の良いところや改善点」、高校生は「子どもの意見を集める仕組みづくり」について話し合いが行われました。
そこで伺います。このワークショップで出た意見の中で、具体的に総合計画や子ども政策に活かす内容についてどういったものがあったのかお聞かせください。
近隣区の豊島区・練馬区では、子どもの声を区政に反映する取り組みを行っています。
豊島区は2006年に子どもの権利条例を制定し、2020年から「としま子ども会議」を開催。会議の半年後には報告会を開催し、子どもたちの意見が政策にどう反映されるのかフィードバックの機会が確保されています。
練馬区では2004年から「練馬子ども議会」を実施し、政策提言を区政に反映しています。両区とも、テーマを設定し、担当課が伴走しながら子どもたちの意見を丁寧に取り入れるため試行錯誤しています。
また品川区では子どもの視点による課題抽出、課題解決策への子どもによるフィードバックを行なっています。こうした取り組みは、子どもの声を尊重し、政策策定に実効性を持たせる重要な事例といえます。
そこで伺います。
板橋区ではワークショップで出た意見が、どのように政策反映に活かされていくのかフィードバックの機会はあるのでしょうか。
フィードバックの実施や子どもの発想が更に活かされる仕組みの検討を頂きたいと思いますが見解を求めます。
単に子どもの意見の発表の場ではなく行政や企業が子どもの意見をしっかり受け止めることで、子どもの柔軟な発想力を生かしたまちづくりが可能になります。ワークショップの仕組みの改善を求めてこの項の質問を終わります。
続いて、遊び場についてです。
板橋区の子どもの遊び場は足りません。
少子化も進み、0歳から14歳の子ども1人に対しての大人の人数は板橋区において、1970年で3.78人、平成14年で7.66人、令和6年で8.84人と推移しています。
子どもの声はどんどんマイノリティとなり、意識しなければ守られませんし、大人の声ばかりが大きくなりがちです。
その中で、高島平緑地での社会実験「りょくちであそぼう」や、今年10月にボール遊びの実態調査が行われたことは大変意義深いと思っています。
そこで伺います。ボール遊びの実態調査の状況と今後の方針についてお聞かせください。
子どもも社会の一員として、自分たちの希望を叶えるだけでなく周囲への配慮の心を養うことも大切です。
船橋市では、2014年の「こども未来会議室」で中学生からの提案を受け、公園でのボール遊び事業を開始しました。2016年に5か所の公園で試験実施を行い、住民や町会と調整を進めた結果、現在では市内33公園で実施されています。26中学校区中23区で実現しており、全学区での実施を目指しています。硬式球は全ての公園で禁止され、軟式球によるキャッチボールやサッカーなどが可能です。各公園では看板を設置し、公園ごとに可能なエリアやルールを明示しています。
事業開始時には見守りスタッフがルール説明やボールの貸し出しを行い、現在では無人運用でもルールを守って遊ぶことが子どもたちに浸透しています。
「希望の遊びをするための周囲への配慮の必要性」をパンフレットや看板にも記載し、子どもたちが社会の一員としての責任を学ぶ機会を提供している点も素晴らしい取り組みです。
そこで伺います。船橋市の事例を参考に本区においても、ボール遊びの緩和を検討する際に、エリア分けなど公園ごとのルール設定を行い出来る遊びを増やして頂きたい、またその際には子どもたちに周囲への配慮の必要性も伝えて頂きたいと思いますが、見解をお聞かせください。
続いて病児保育について伺います。
今年の夏、手足口病をはじめ様々な感染症が流行し、これからも流行期に入ります。
働く保護者からは、病児保育が予約できず、子どもの看病で有給が減り、仕事を休むことが出来ず困っているという声を多く頂いています。
板橋区では在宅勤務が普及し、家庭での見守りが増えている見解も示されていますが、サービス業など出勤が必須の職種も多いですし、乳児の看病と在宅勤務を両立させることは難しいのが現状です。病児も対応可能なベビーシッターの補助制度もありますが、1対1での対応に抵抗がある保護者も多いため、病児保育の拡充が必要です。
「板橋子ども未来応援宣言2025」では、令和6年度に5ヶ所の病児保育施設設置が望ましいと記されていますが、未充足な状況です。
そこで伺います。現在、板橋区内の施設は病児保育3ヶ所、病後児保育1ヶ所しかない状況です。この状況をどのようにお考えか、また、状況を改善するための策をお示しください。
次に予約方法についてです。今の保護者にとってスマートフォンからネット予約ができることは当たり前のフローになっています。
現在板橋区内の病児保育施設では、2施設が電話予約、2施設がネット予約となっていますが、別のシステム仕様となっています。電話予約や病院ごとのシステムが利用のハードルになっている可能性があります。
そこで伺います。現在の板橋区の年間を通しての受入稼働率をお示しください。
今年の夏に、病児・病後児保育の視察に練馬区へ伺いました。
練馬区では、予約システムの導入を全施設で行なっています。令和元年度には半分の施設が未整備だったものを国の補助金も活用して導入が実現しました。
施設の内訳は医師会、総合病院、保育園併設型、クリニック併設型と様々です。
練馬区の5歳未満人口は26081人で、板橋区の1.5倍の人数です。
令和5年度の病児保育合計利用数は7,783人と、板橋区の1,961人に対して、約4倍の利用者数です。
定員自体も67人と板橋区21人に対し約3倍の定員です。
練馬区の方が病児保育の環境整備が整っており、稼働率も高い状況です。
ここで伺います。板橋区においてもこども家庭庁のICT化補助金なども活用し予約システムの導入について検討すべきと考えますが見解をお聞かせください。
可能ならば全施設同じものですと、空き状況やキャンセル待ちなども一様に分かりますので、希望します。
続いて、小学生低学年に対しての病児病後児保育についてです。
小学校でも様々な感染症が流行しています。1年生になるとベビーシッター補助金や病児保育が利用できなくなり、職場では時短勤務が終了し、より仕事を休みにくい状況になる保護者も多くいます。一方で病児が家で1人過ごすことに不安な保護者の声も伺っています。
このような課題から、小学生低学年向けの病児保育の拡充が必要です。
同じく練馬区では、10歳未満の児童で病児保育の利用を行うことが出来ます。
東京都・国の病児保育の要綱では、対象児童を「乳児・幼児または小学校に就学している児童」と定めており対象を拡大しています。
そこで伺います。板橋区において、小学生の病児保育についてはどのように検討をされているのか見解を伺います。
練馬区では10歳までの小学生の令和5年度利用者数は398人となっています。全体の5%の利用率ではありますが、保護者の方の安心材料になっていると考えます。
この項の最後に、別の選択肢の提案をさせて頂きます。
中野区では、ファミリーサポート事業において病児・病後児の子どもを預かることが出来る特別援助活動事業があります。小学校6年生までが対象となっています。令和5年度は全体の2.7%に当たる、125人の方が利用されています。
病児保育施設への距離がある方や、普段から顔見知りの方に見守ってもらえることは、保護者にとっても安心できる内容です。
ここでお伺いします。板橋区の小学生への病児保育の仕組みを強化するためにも、特別援助活動の枠を作ることを検討頂きたく要望しますが、見解を伺います。
同会派井上議員からも以前より保育園での病児保育実施なども提案をしておりますが、病児保育の環境整備についての前向きな検討を願い、この項の質問を終わります。
続いて教育について伺います。
10月に板橋アカデミーで行われた長沼教育長の講演を拝聴しました。講演では、オランダ発の教育モデル「イエナプラン」の概要、教育長が校長を務めたイエナプラン認定校の大日向小中学校の事例や、板橋区での導入可能性についてお話がありました。
イエナプランでは、異年齢学習や自由進度学習、探究学習を通じて、子どもの自律と共生を育む教育が実践されています。
教育長は特に「探求学習」「自由進度学習」の推進可能性について言及されました。
1点目に探究学習の充実のための、コミュニティ・スクール委員会(以下CS委員会)の活用について質問します。
予測困難な時代を生き抜く子どもたちには、「自ら学び考え、それを表現する力」が求められており、探究的な学びの環境整備が必要です。
学習指導要領でも「社会に開かれた教育過程の実現」が掲げられています。
先日、板橋第十小学校で行われた探究発表会とCS委員会に参加し、地域と学校が連携した教育の可能性を強く感じました。
CS委員会は学校経営や運営に関する協議を行う会議体です。
同校では、このCS委員会で学校経営方針や学校評価などについても熟議を行っていることが特徴であり、探究的な学びを最重点教育活動に位置付けています。
学校地域支援本部、PTAや地域団体がCS委員会と共に「板十ワンチーム」として機能し、協議機関と実働機関が両輪となって、学校での学びを支えています。
また、同校のCS委員会のもう1つの特徴として、地域内外のオブザーバー参加が可能であることが挙げられ、今回は30人の方が参加しました。先進的なモデルとして全国的にも注目されています。
今回のCS委員会では、探究発表の改善点に関する意見交換や、解決策の提示が行われ、外部の視点を取り入れる重要性を改めて実感しました。
特に、先生方の負担を軽減し、探究学習をより深めるためには、地域や外部人材との連携が不可欠です。
このように、地域と学校が協力して教育活動を支える仕組みは、子どもたちの未来を切り拓く力を育む上で欠かせません。そこで質問します。
板橋第十小学校では、探究学習を最重点教育活動と位置付け、地域内外の多様な協力者が参画する「ワンチーム」体制を築いています。
このような先進的な取り組みを区内全体に広げるため、学校経営方針について熟議し、協力者が参画することでの効果についてコミュニティスクール委員会の好事例として広報を進めるべきだと考えますが、区の見解を伺います。
次に自由進度学習についてです。
教育長から事例共有のあった大日向小中学校やオランダの学校では、10人に1人ほどの割合で大人がサポート出来る体制が整っていますが、実際の板橋の学校ではその大人の目が足りず困っている現状があります。
ある区内学校では生活支援員が充足出来ず困っているという話も聞いています。
そこで教育長に伺います。
現在の教育現場の負担解消のため、また、自由進度学習を進めて行くためにも、教員や支援員の拡充は必要不可欠だと考えますが、今後検討している方針があればお示しください。
教育長の目指す、自己選択・自己決定・自己調整が可能な自由進度学習が実現出来れば、学校での学びがより子どもたちに最適な方法になると思っていますので、大変に期待をしております。以上でこの項の質問を終わります。
不登校の生徒の人数が過去最多を更新しています。区内において令和5年度は小学校545人、中学校799人の合計1344人となっています。
不登校になる要因は様々ですが、発達障害のうちLD(学習障害)の児童の約35から60%が不登校を経験しているというデータがあります。
LDの中でも読み書きに特異的に困難さを持つディスレクシアの方は人口の約8%おり、通常学級には2人から3人いると言われています。
周囲も本人もディスレクシアであることに気づかず、「勉強量を増やしても結果が出ない」「自分はバカなのか 」と悩み、苦手をきっかけに学業不振、自信喪失、不登校、精神的ダメージを受けて二次障害が出ることがあるとも言われています。
WISCなどの知能検査ではLDであることは分かりません。そのような中、板橋区内において令和6年度よりKABC-Ⅱ検査が実施されていることは大変素晴らしい一歩だと思っています。
そこで伺います。KABCー2の10月末時点での実施検査人数をお示しください。
今年度KABCーIIの検査の対象はステップアップ教室ときこえとことばの教室に通っている児童のみと伺っております。
本当に支援が必要な児童は、教室で、静かに過ごしながらも授業の内容についていけなかったり、読み書きに困難さを持っている児童です。
板橋区にはきこえとことばの教室が3校で実施されていますが、送迎が必要な場合仕事等の関係で断念したという話も聞きます。
そこで伺います。
ステップアップ教室では行動やコミュニケーションの支援も大きな役割となっている中で読み書き支援を行うことが、十分でない課題もあると考えています。きこえとことばの教室の設置校数や受け入れ人数を増やすなど拡充を求めますが見解をお聞かせください。
最後の質問です。
板橋区内小学校では小1でMIMが導入されています。
小1のMIMのスクリーニングでつまづきがみられた児童は支援に繋がれているのか、小2以降でつまづきが出てくる児童の発見と支援はどのように行われているのかお聞かせください。
学習障害の支援に診断は不要です。
その認識が学校内でも定着し、子どもたちがICTの活用も視野に適切な支援を受けながら個別最適な学びができる環境改善を求めてこの項の質問を終わります。
以上で私の一般質問を終わります。
すべての子どもが、平等に「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を持ちます。未来を担う子どもたちの権利が保障される板橋区であることを願います。ご清聴ありがとうございました。
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