2025年08月19日

【視察報告】猛暑の夏でも「水泳授業を止めない」──葛飾区の屋内プール活用事例を学ぶ

8月19日、葛飾区にて屋内プールを活用した水泳授業の取り組みについて視察を伺いました。

板橋区でも「暑さによってプール授業が中止になった」「ほとんど泳げなかった」という声が保護者や子どもから届いており、こうした取り組みの具体的な現場を見て学ぶことは非常に有意義でした。

熱中症アラートと共に動いた決断

葛飾区がこの方針を打ち出したのは、熱中症警戒アラートが開始された令和2年のこと。

ちょうど今後学校施設の建て替えも続いてくるタイミングでの検討でした。

その時に決定したのは以下の2点です。

  • 学校改築時にはプールを新設しない
  • 区営または民間の屋内プールを活用して水泳授業を実施する体制への転換

🔵実施状況とスケジュール

現在(令和7年度)は、区内48校のうち26校で屋内プールを活用した水泳授業が行われています。

  • 実施期間:5月~11月
  • 授業頻度:2週間に1回程度、年間6〜7回
  • 活用施設:区営2施設+民間12施設(午前中や休館日などを活用)
  • 移動手段:バス(バス会社への委託)

メリットと課題

✔ メリット

  • 外気温に左右されないため、授業中止が少ない
  • 予定が立てやすく、教育課程が組みやすい
  • 学校側の管理負担が軽減される(例:水質管理・施錠忘れなどの心配がない)
  • 泳力別に対応した丁寧な指導が可能で、子どもたちの満足度も高い

⚠ 課題・対応

  • 民間施設の稼働では全校分をカバーできず、新たに区営プールを2箇所建設中
  • 災害時や消防水利の確保という面では課題があるが、防災井戸や貯水槽の設置で対応
  • 施設への移動時間がかかる(15分程度)
  • バス委託料が昨今の運転手不足により増額傾向

🔵視察を通して感じたこと

異常気象が当たり前になりつつある今、「泳げること」や「水なれ」は命を守る力にもつながります。

授業数そのものが減ってしまう夏において、どうすれば持続可能に水泳指導を行えるか──その一つの答えがここにありました。

江戸川区、足立区などもそれぞれ異なる手法で取り組みを進めており、今回の視察で得た知見をもとに、板橋区においても現実的な提案を重ねていきたいと思います。

さいごに

学校プールの老朽化や教職員の業務負担など、学校施設を取り巻く課題は全国的に共通しています。

「水泳授業の継続」を“目的”ではなく、“子どもの安全と学びを守る手段”として捉えたとき、今回視察した葛飾区のような柔軟な判断が、今後の一つのモデルになっていくと強く感じました。

今後も、子どもたちにとって最善の環境とは何かを考え続けながら、現場の声と課題解決の道筋を丁寧につないでいきます。