2025年11月27日

【FC今治里山校を視察しました】

─ 子どもが “人生のオーナー” になる教育とは? ─

四国視察2日目は、今治市にある FC今治里山校(岡田武史さんが理事長を務める私立高校)を視察しました。

https://fcihs-satoyama.ed.jp/

 

「サッカーの街・今治」のど真ん中に、“これからの社会に必要な学び” を追求する学校がある──そう聞き、ずっと訪れたいと思っていた場所です。

里山校で行われているのは、単なる学校教育ではありません。

子どもたちが「人生のオーナーシップ」を取り戻し、自律して生きていくための学びでした。

視察を通して見えた「今、日本の教育に欠けていること」「子どもたちが生き生きと学ぶ姿」「地域を巻き込む仕組み」などをお伝えします。

■1.なぜ今、オーナーシップ教育なのか

視察冒頭で印象的だったのは、日本の若者に関する次のデータです。

  • 日本の18歳で「自国の将来が良くなる」と答えたのは、わずか15%
  • 自分の行動で社会を変えられると思う18歳は45%
  • 4割の子どもは“夢すら持てていない”

校長先生からは、次のような言葉もありました。

「日本の教育は、受ければ受けるほどオーナーシップを失っていくのではないか」

誰もがかつては “天才だった” はずなのに、いつのまにか

「自分なんて大したことできない」

「答えは教えてもらうもの」

そう思い込んでしまう──。

里山校は、そんな風潮に真っ向から挑む学校です。

 

■2.FC今治里山校とは?:学びのフィールドは“スタジアム”

里山校は、“学校を地域にひらく” 実践が徹底されていました。

●スタジアムで探究の授業

FC今治のスタジアム自体を「学びのフィールド」として活用。

地域の企業・大学・市民が学びに関わり、スタジアムでは探究ゼミが行われています。

 

●先生=「社会で活躍する大人」

火曜・金曜は探究ゼミの日。

子どものやりたいことに伴走する “コーチ” が授業を行います。

「あなたはどうしたいの?」の問いかけを続けるコーチング型。

 

●個別最適な学び & 学校を飛び出す教育

授業時間は極力短くし、インターン・地域探究・フィールドワークへ。

全国26都道府県から120名の生徒が集まり、好きなことに夢中になれる環境が整っています。

 

■3.特徴①:徹底した「主体性」と“待つ”教育

里山校で繰り返し出てきたキーワードは 「待つ」。

  • 机が散らかっていても、大人は手出ししない
  • 寮では、生活のルールも自分たちで考える
  • 相談が来ても「君はどうしたい?」と問い返す

大人は手を出しすぎていたのかもしれない。

子どもには自分で育つ力がある。

生徒とコーチは “対等な学び合う仲間”。

 

学びの姿勢も、生徒同士が教え合ったり、自分自身が心地よい方法で学ぶ方法を実践している生徒の姿も見ることが出来ました。(ホワイトボードの前にいるのも生徒です)

 

■4.特徴②:想定外に飛び込む「挑戦の教育」

里山校の学びは、机上ではなく 人生そのもの です。

●お遍路体験(4泊5日・100km)

辛いときには「辛い」と言えること。

多くの地域の方に支えられながら歩くことで「自分が地域に返していく経験」へつながる。

 

●ソロキャンプ(山で3日間、雪山での単独キャンプなど)

危機管理や自己判断を学ぶ貴重なフィールド。

 

●マイプロジェクト

虫取り・水質研究・地域課題の探究・起業準備など、

「偏愛」と呼ばれる好きなものを徹底的にやり切る学び。

好きなことを突き詰めてきた子は強い。

 

■5.特徴③:評価は「ラブレター」

里山校には偏差値による序列はありません。

  • テストは“難しい版”と“やさしい版”を選べる
  • 評価は点数だけでなく「他者への貢献」も重視
  • 通知表は“ラブレターのような”個別フィードバック

子ども自身を肯定し、成長を丁寧に言葉で伝える文化は、これからの教育が目指す姿のひとつだと感じました。

 

■6.特徴④:地域とともに育つ学校

印象的だったのは、地域との強い結びつきです。

  • 地元企業との協働プログラム
  • 工務店のおじちゃんたちがクラファンのプロジェクトを後押し
  • 立命館大学との連携(新しい入試モデルづくり)

まさに「学校と地域が共に子どもを育てる」環境がありました。

 

ビーチバレーの選手でもある生徒が、学校にもビーチバレー練習場が欲しいという想いで

クラファンを実施しました。

地域の企業への協力も得て、工事が始まっている様子も見ることが出来ました。

 

■7.課題も包み隠さず共有してくれた

里山校は理想だけの学校ではありません。むしろ課題を正直に開示してくれたことが印象的でした。

  • 2期生が増えて寮内トラブルが増加
  • “自治=無法” にならないための仕組みづくり
  • 学びについていけず葛藤する生徒への1on1も実施し始めた
  • 「勉強したくないから来る」という誤解の防止

「マッチングを高めるために、事前に何度も接触して理解してもらう」

という姿勢は、どの学校にも必要だと感じました。

 

■8.視察を終えて:板橋区への示唆

今回の視察で強く感じたことは、

「子どもが自分の人生を選び、地域とともに育つ教育」の可能性です。

里山校の実践は、以下の点で板橋区とも深くつながると考えます。

 

●①多様な学び・不登校支援のヒントが豊富

“学びは学校の中だけではない” を体現しているモデル。

●②地域×学校の連携

板橋でも学びのフィールドとして、地域クラブなど、多様な学びを広げる可能性がある。

●③大人も学びあえるコミュニティ

大人も子どもたちと一緒に学びあえる機会の重要性は非常に大きく、板橋でも広げていきたいテーマです。

 

■9.最後に

視察中、印象的だったのはこの言葉です。

「大人になるって悪くないよ、と思える社会をつくりたい」

これは私が板橋区で目指しているまちの姿、そのものです。

子どもたちが“自分の人生のオーナー”として生きられる地域をつくるために、

今回の学びをしっかり政策に活かしていきます。